血管新生療法

近年の血管内治療や外科的手術は著しく進歩しています。しかし、既存の治療法では功を奏さず、下肢切断を余儀なくされる重症例があります。このような重症例に対する新しい治療法として、血管新生療法が検討されています。

血管新生療法

血管新生療法は、血管増殖因子やその遺伝子などを用いて、側副血行路を発達させ、虚血状態を改善する治療法です。

血管新生(neovascularization)
1) 血管発生(vasculogenesis)
血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell;EPC)が内皮細胞に分化して新しい血管を形成する。
2) 狭義の血管新生(angiogenesis)
成熟分化した脈管からの内皮細胞増殖などにより、新しいネットワークを形成する。
3) 動脈形成(arteriogenesis)
すでにあるネットワークおよび側副血行路を太くする。

《遺伝子治療》
近年応用されてきた、遺伝子を用いた治療法です。欧米では、すでに多くのプロトコルが実施されてきており、閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;ASO)患者に行われた血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)遺伝子による治験では、70%以上の症例に血管造影上明らかな側副血行路の発達がみられたとの報告があります8)

8)Isner JM, et al.: Lancet, 348: 370, 1996.

わが国においては、現在、ASOやBuerger病(閉塞性血栓血管炎;thromboangiitis obliterans;TAO)に対する、肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)遺伝子を用いた血管新生療法の治験が行われています。

血管増殖因子
血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)
肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)
線維芽細胞増殖因子(fibloblast growth factor;FGF)
塩基性線維芽細胞増殖因子( basic fibloblast growth factor;bFGF)

《自家骨髄細胞移植》
わが国において、先進的になされている血管新生療法で、自家骨髄を患部に注射し、血管新生を促します。自家骨髄のため、免疫系への副作用が少ないことが特徴です。