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専門:血管外科、一般外科
研究テーマ:血管外科学全般
日本脈管学会理事長、日本血管外科学会名誉会長(前理事長)、日本心臓血管外科学会名誉会員・国際会員、Advisory Board of the International Union of Angiology、Past President of the Asian Chapter of the International Union of Angiologyなど、国内外学会にて活躍。その他“Int Angiol”、 “Int J Angiol”などの編集にも携わる。
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これまでわが国における末梢動脈閉塞症(peripheral arterial disease;PAD)は、いわゆるBuerger病(別名:閉塞性血栓血管炎;thromboangiitis obliterans;TAO)が主な疾患でした。
しかし、第二次大戦後、高度経済成長を経て、食生活を含めた生活様式の欧米化と高齢社会の到来により、疾病構造に変化が表れました。糖尿病や高脂血症、肥満、高血圧などのいわゆる生活習慣病の罹病率が高まり、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患や脳梗塞などの動脈硬化性血管疾患が増加しました。現在では、わが国で特徴的に多くを占めていたTAOに代わって閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans;ASO)がそのほとんどを占めるに至っています。
動脈硬化は、脳・頸動脈、冠動脈など全身の動脈に生じ、それらが灌流している臓器の循環障害も併せて生じます。ASOは「全身の動脈硬化病変の一部分症」ととらえることが重要であり、動脈硬化病変の「窓」ともいえるのです。日常診療においてもこのことを強く意識し、適切な治療選択を考えていく必要があります。
2005年にはわが国オリジナルの『メタボリックシンドローム診断基準』(日本内科学会雑誌, 94(4): 794-809, 2005)が発表され、その終末像ともいえる心筋梗塞、脳梗塞、ASOなどをいかに予防するかに、ますます注目が集まっています。
PADに関しても、2000年に欧米のガイドライン『TASC(TransAtlantic Inter-Society Consensus)』が発表されて以来、わが国においてもASOへの関心が高まってきました。2007年には、欧米諸国だけではなく、わが国やオセアニア、オーストラリアなどの学会を加えて改訂された『TASCII』が発表されました。わが国でも、日本循環器学会によるガイドラインの作成が予定されており注目が集まっています。
閉塞性動脈硬化症(ASO)情報サイトでは、わが国におけるASO診療の現状を紹介しています。多くの実地医家・臨床医の先生方にご活用いただき、日常診療の一助となれれば幸甚です。 |
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